生物界におけるヘモグロビン
ヘモグロビンは脊椎動物に固有のものではない。動物界や植物界を通して見れば、酸素に結合し運搬を行う様々なタンパク質が存在する。また真正細菌、原生生物界、菌界などでも、可逆的なガス結合を行うと見られる配位子を含んでいる、ヘモグロビン様のタンパク質が存在する。これらのタンパク質の多くはグロビンとヘム(平面状のポルフィリンが配位した鉄イオン)を含んでいるため、単にヘモグロビンと呼ばれることがある。しかし、これらのタンパク質の三次構造は、脊椎動物のヘモグロビンとは大きく異なる場合がある。特に、原始的な動物で、筋肉を持たないものにおいては、「ミオグロビン」とヘモグロビンを区別することは難しい。また、循環器があるものでも、酸素運搬をするタンパク質が複数ある場合がある(昆虫類やその他の節足動物など)。これらの中で、ヘムとグロビン(単量体の場合もある)を含み、ガス交換を行うものをヘモグロビンと称する。酸素を運搬するもの以外にも、NO、CO2、硫化物を運搬するものもある。また嫌気的環境を必要とする生物は、O2を環境へ排出することもある。さらに、塩素化合物の解毒を行うものもあり、その動作はシトクロムP450やペルオキシダーゼと類似する。
ヘモグロビンの構造は生物種によって異なる。ヘモグロビンは生物界のそれぞれの界に存在するが、すべての種が持つわけではない。グロビンを1つだけ含むヘモグロビンは、細菌・原生生物・藻類・植物などの原始的なものに観察される傾向がある。対照的に、線虫類・軟体動物・甲殻類などは、脊椎動物のヘモグロビンよりはるかに大きいヘモグロビンを持つ。特大ヘモグロビンは、菌類および巨大環形動物に見られ、グロブリンとその他のタンパク質を含んでいる。生物界におけるヘモグロビンの、特に顕著な事例は、体長2.4メートルにも達するチューブワーム (Riftia pachyptila, またの名を Vestimentifera)で観察される。この種は海底火山の周辺によく見られる。これらは消化器系を持たない。かわりに、体重の半分ほどに達する重量のバクテリアを体内に飼っており、熱水噴出孔からのH2Sと水中のO2を取り入れ、H2OとCO2とを生み出す反応によって養分を合成するためのエネルギーを得る。これらの生物は、末端に、濃い赤色の扇状の器官(plume) を持ち、それを海水中に伸ばして、バクテリアのためにH2OとO2を吸収し、また同化のためにCO2を取り入れている(光合成を行う植物と同様)。この器官は鮮やかな赤色をしているが、これは何種かの非常に巨大なヘモグロビンのためである。その中には144ものグロブリン鎖を持つものが存在する(おそらくそれぞれがヘム構造との結合を持っている)。通常、ヘモグロビンは、硫化物に働きを阻害されるが、これらチューブワームのヘモグロビンは、硫化物と酸素の両方を運搬できる点で特徴的である。
『ウィキペディア(Wikipedia)』引用
ヘモグロビンは地球上の生き物には大切な成分です。
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